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話題の多摩トキワソウ団地

プロの漫画家を目指す 人材開発型シェアハウス

2021年6月、日野市多摩平に誕生した『多摩トキワソウ団地』は、本気でプロを目指す漫画家のためのシェアハウス。古い団地をリノベーションしたおしゃれなシェアハウスに、駆け出しの漫画家や漫画家志望の若者が共同で生活。プロとして自立することを目標に、切磋琢磨しながら制作に挑んでいます。

漫画家専用 全38室は即満室

 豊田駅北口から徒歩10分ほどのところにある旧多摩平団地の再開発エリア。2011年に団地型シェアハウスに生まれ変わった『りえんと多摩平』244号棟の全62室中38室分を多摩トキワソウ団地として運営しています。入居できるのは、漫画家としてプロになることを本気で目指している35歳までの漫画クリエーターのみ。6月のオープン直後には全室満室となり、空室待ちの人気ぶりです。
 運営しているNPO法人NEWVERY(品川区)は、若手漫画家などのクリエーターがプロとして自活できるような支援プログラムを提供している団体です。具体的には、同じ志を持つ仲間とのシェアハウスを都内中心に7カ所運営、リーズナブルな賃料で活動拠点を提供。さらに、スキルを磨くための講座やアシスタントなど関連する仕事を紹介するといった自活に向けた手厚いサポートが好評で、この15年間で、570人以上が利用し、120人以上がプロデビューをしました。

共用のキッチン・ラウンジは交流の場に
昨年12 月にイオンモール多摩平の森で開催した作品展示会。
「地域の方の応援が励みになります」と菊池さん

なぜ多摩平で?決め手は地域の多様性

 漫画家育成の新しい拠点に〝多摩平〞を選んだのは、地域の多様性が決め手だったそう。「人々の日常を描くことが多い漫画は、観察が作品作りの大きなヒントになります。このエリアには、再開発の誘致によって保育園や高齢者施設、学生や留学生、社会人、ファミリーなどさまざまな立場の人の〝日常〞がすぐそばにあるというのが魅力的でした」と同団体の菊池蓉子さん。コロナ禍で中止となっていますが、餅つき大会やバーベキューなどの地域イベントにも参加できることも作品への刺激になると期待を寄せています。

どんな暮らし?切磋琢磨できる環境

 シェアハウスの内部はおしゃれにリノベーションされた快適な空間。旧団地時代は一世帯用3Kだった間取りが、電子錠付きの一人部屋3室に改装されています。3室を1 ユニットとして運用し、トイレと洗面所は各
ユニットに配置。キッチン、ダイニング、シャワールーム、洗濯乾燥機は、1階で共用します。共用部でのコミュニケーションと個室でのプライベートな時間をバランスよく確保できるのが多摩トキワソウ団地の魅力の一つ。
 「入居期間の上限はありませんが、3年を一区切りに計画を立ててもらい、それに基づいて進捗状況の確認や情報の提供などサポートをしています。40人前後のコミュニティーは、信頼関係を築きながらも、変化と適度な競争心を生む最適な人数。既に2名がプロデビューし、受賞や雑誌掲載が決まった入居者も。共に切磋琢磨し、夢を実現に変えていってほしいです」と話してくれました。

『トキワソウ』って?

 多摩トキワソウ団地の名称は、手塚治虫氏や藤子不二雄氏など漫画界の巨匠を輩出したアパート『トキワ荘』(豊島区・1952年ー1982年)に由来しています。炊事場やトイレなどを共有するシェアハウススタイルのアパートで、若手漫画家たちが切磋琢磨した場所として知られており、後に名作を残したスター漫画家が多く巣立っていったとされています。

ショッパー 八王子周辺版 2022年2月11日号掲載

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