町田市では以前から、認知症を表す「Dementia」の頭文字を取ったDカフェを定期的に開催。認知症当事者とその家族、地域住民が参加できる会ですが、それ以外にも認知症への理解を深める〝D〞のつく取り組みがあります。
木曽エリアを中心にサポート広がる
町田市本町田にある、アベ企画代表の安倍正浩さんは、木曽エリアを中心とした企業約90軒が加盟する木曽商工ネットの会長を務めて5年。コロナ禍でオンラインになったDカフェのサポートをしたことをきっかけに、認知症について理解を深めるようになりました。
認知症支援のイメージカラーのオレンジ色を入れてデザインされた
「きんじょの本棚®」原田向店の本棚の横に立つ安倍さん
町田市内の認知症に関連した地域の活動をHP等で紹介する、「Dフレンズ町田」や近隣老人福祉施設の人と関わっていく中で、認知症関連の本を紹介するDブックスに参加も。TSUTAYA町田木曽店等がDブックスのロゴをつけたコーナーを設けていますが、安倍さんは市内を中心に広がる私設図書館「きんじょの本棚®」の100軒目、原田向店を自社の前に設置しDブックスとして登録。「普通の本を手に取るように、自然に関心を持ってほしい」という理由から、さまざまな本の中に認知症介護を漫画化した「ペコロスの母に会いに行く」等も入れて、4月に開架しました。
トイレ貸し出しをする活動「Dトイレ」
認知症当事者が引きこもってしまう原因の一つに、外出時のトイレに困るという問題があり、「Dトイレ」のロゴを掲出し、トイレ貸し出しをする活動が老人関連施設から開始。「店や会社も一緒に取り組めば、認知症への理解も広がるのでは」と、安倍さんは木曽商工ネットへの働きかけも行いました。現在では木曽地区をはじめとした市内50カ所以上でDトイレの掲出が見られます。
Dトイレの協力店である木曽東の弁当店「京や亭」
協力店の一つ、不動産会社の京南では2月から始めて、認知症をより身近に感じるようになり「トイレだけでなく、困ったことがあれば力になりたい」と原代表は話します。そんな声を受け取りながら安倍さんは「この活動を始めた方たちの思いをつないでいきたい」と、行政、医療、企業の連携の必要性も訴えます。
〝D〞のつく各種取り組みへの参加を通して認知症を特別視せず、当事者や家族が見守られながらも街になじむ共生社会を目標にと「木曽エリアがそのモデル地区になれたらいいですね」と安倍さん。Dブックス協力店は町田市のHPから。Dトイレ貸し出し協力希望店はアベ企画(電042・722・1828)まで連絡を