京王線の百草園駅から歩くこと10分。住宅街を抜け、急な坂道を上りきった小高い丘に京王百草園(日野市百草560)はあります。古くから梅の名所として知られ、約500本の梅が可憐(かれん)な花を咲かせるこの季節。一足先に春を感じられる同園を訪れました。
歴史の地としての庭園
多摩丘陵の一角に佇む京王百草園は、江戸時代の享保年間に、小田原城主・大久保忠増の正室であった寿昌院慈岳元長尼が、徳川家康の長男・信康追悼のため松連寺を再建した地で、園内にある樹齢300年を越す名木「寿昌梅(じゅしょうばい)」は、寿昌院自ら植樹したと伝えられています。江戸近郊の名所として「江戸名所図会」などにも紹介され、若山牧水や徳富蘆花ら多くの文人たちが訪れました。その後、時代を経て、昭和32年より京王電鉄が管理、運営しています。
日本庭園の見どころ
約26000㎡の園内には年間を通して楽しめるよう、四季折々の花や植物が散在。取材した2月上旬は、早咲きの梅やロウバイ、ニホンスイセン、福寿草、寒咲きアヤメが咲いていました。梅や紅葉の名所としても知られ、梅の開花の季節には約50品種、500本の梅が紅白の花を咲かせます。一つの花に白と紅色の花びらが混在する「思いのまま」など珍しい品種も。
野点傘と毛せんが敷かれたフォトスポット
園内の撮影ポイントとなっているのが、かやぶき屋根の松連庵とその前に咲く寿昌梅。標高約140mの見晴台からは、下に咲く梅やかやぶき屋根を見下ろすことができ、天気が良ければ新宿・都庁や東京スカイツリー、富士山が見渡せます。
梅のライトアップも
3月12日まで開催中の「梅まつり」では、ワークショップ、雛人形・つるし雛展、投扇興や貝合わせ体験などの催し物を用意(展示以外は予約制)。松連庵前の広場には臨時売店や土産店が並び、焼き芋や軽食類、園内に自生する竹を使ったスタッフ手作りのオリジナル竹細工の販売も。「園全体の梅の見頃は今月中旬から下旬を見込んでいますが、早咲き、中咲き、遅咲きと順々に開花していきますので期間中お楽しみいただけます。今回初めて梅の木のライトアップを行い、昼間とはまた違った雰囲気になりますのでご期待ください」と百草園管理センターの清水真二さん。
案内してくれた百草園管理センターの清水真二さん
営業午前9時〜午後5時(梅ライトアップの2月18日、19日、23日〜26日は午後7時まで)。梅まつり期間中は無休。入園料大人300円、子供100円。イベントの詳細はこちら。

ショッパー八王子周辺版 2023年2月17日号掲載