町の喧騒を離れて、静かな空間でほっとする時間も時には必要。そんな場所を提供したいと、町田市内の由緒ある寺が境内で精進料理の店を始めました。鳥の声や豊かな緑を感じられる場所で、心も体もリセットできそうです。
寺の境内に精進食堂
町田市忠生の簗田寺(りょうでんじ)は1629年に建立。100種以上の植物があちらこちらに見られ、湧き水も流れる静かな場所です。そんな境内の一角に、4月から精進食堂ときとそらがオープンし、金、土、日曜の午前11時半〜午後3時(2〜3時は喫茶)に季節の斎座御膳1760円を提供(予約優先)。
かつて住居として使用していた木造の建物を改装し2階には1フロア貸しの宿坊「泰全」も併設している食堂は、樹齢約1000年で枯死した敷地内のハリギリの木を一部テーブルに使用する等、内装も木が印象的。境内側に大きくとられた窓からは優しい光が入り、今の時季なら木々の緑を臨むことができ、どこか凛とした空気漂う空間で食事ができます。
物語があってできた料理
7月の斎座御膳
白湯に始まる御膳の内容は月替わり。7月は「五色(ごしき)の空(くう)」。七夕にちなんで、ソーメンと短冊野菜の入った七夕汁、ニンジン、キュウリ等5色の野菜の寒天寄せ他、漬物や煮物、サラダ含め12品。材料となる野菜他の作り手、それを生かして調理を担当する人等「それぞれの物語があってできた料理」と副住職の齋藤紘良さん。「その物語を受けとりながら食べてほしい」とも。
お香つくる調香所も
裏山の植物を原料に作る過程を展示している調香所まとい
食堂の向かいには、お香を作る「調香所まとい」を新設。 裏山の手入れをする中で、そこで息づく植物を学んだ齋藤さん。例えばシュロでほうきを作るといった、さまざまな活用法を知っていき、刈った笹やドクダミ、イチヂクの葉を利用して、お香づくりも実践。「こういう楽しさを共有できたら」 と同所では、 乾燥をしている葉や、粉状にすりつぶしたもの、固めて、お香の形にしたもの等、一連の過程を見ることができます。
お香の原料となる乾燥させた葉や花
すべては「ここに集うことで思いやりを持って、人とのつながりや縁ができれば」という思いから。月1回境内で行われる、同寺を知ってもらうイベント「開門日和」もその一つです。次回は7月22日午前11時半ごろ〜午後4時ごろ。野点や座禅体験、調香ワークショップ、ミュージシャンでもある齋藤さんの、DJ企画「ばくおんアンビエントの会」等を予定。直接同寺へ。

町田市忠生2-5-33
☎042-791-0602