東京都内で農業の担い手を育成する唯一の公的研修機関である『東京農業アカデミー』。その学びの場となっている八王子研修農場には、現在、10人の研修生が東京での新規就農を目指し日々学んでいます。(写真:就農を目指して日々
頑張る研修生)
東京農業の課題解決へ
東京都内には、島しょ部を含めて約6500ヘクタールの農地があり、総面積の約3%を占めていると言われています。しかし、農業従事者の高齢化や後継者不足により年々減少。2020年の統計によると、過去5年間で年間約200戸の農家が廃業し、100〜150ヘクタールの農地が毎年減っています。「防災」「環境保全」「教育」という都市農地機能を果たすためにも、農地減少に歯止めをかけたい東京都が2020年度からスタートさせたのがこの東京農業アカデミー。都内で新たに農地を借り受け、生産活動で生計を立てる〝東京農業〞の担い手を育てることを目的とした都内で唯一の公的研修機関です。
少数精鋭の研修生
「アカデミーという名の通り、専門学校や予備校のようなイメージです」と話すのは、八王子研修農場長の小寺孝治さん。研修生になるには、毎年11月頃に行われる選考に合格する必要があります。合格者は毎年5人程度。4倍〜5倍の倍率から選ばれた精鋭の研修生です。
カリキュラムは2年間。実践的な農業技術や農業経営に関する知識まで幅広く、栽培技術、農業関連法規、農耕機の取り扱いとメンテナンス方法、ポップの制作や獣害対策など専門家から直接指導を受けることができます。充実した設備、公的機関ならではの人脈、農地探しの支援など手厚いフォローも特徴です。「研修生は20代〜40代、男女ともにおり、元ITエンジニアや子育て中のママなどさまざま。2年間という短期間でカリキュラムを終えるには容易なことではありませんが、皆、真剣」と小寺さん。研修を経ると、〝プロ農家〞として卒業しています。
人気の野菜直売
直売会では採れたての野菜がずらり
研修生が栽培した野菜は、東京都庁の職員食堂で限定メニューとして登場するほか、一般にも販売します。「研修生にとっては、出荷・販売の実習の一環です。卸価格の動向や近隣販売店の価格を調査し、妥当な価格設定を学びます。採れたての野菜を自分たちで袋詰めし、並べ方やポップ掲示を工夫。販売を通じ、消費者の反応を知るいい機会になっています」と。もちろん旬で新鮮な野菜が直売価格で購入できるとあって、地域の人にも好評で、毎回、販売開始前から列ができ、売り切れが続出するほどの人気です。収穫量や他のイベント出店などによるため、直売会の開催は不定期。研修農場の公式サイトやライン登録することで、直売会の最新情報を得ることができます。
八王子市大谷町1013
☎042-649-3444
2024年度研修生向け現地説明会は9月から🍅7月の野菜直売会
21 日、26日/午後1時半~3時
研修棟前(車での来場はできません)
※公式ラインの登録で最新情報を配信
ショッパー八王子周辺版 2023年7月21日号掲載