日本の植物分類学の草分けといわれ、テレビドラマのモデルとしても話題の牧野富太郎。南大沢にある大学に、牧野が収集した植物標本等を管理、研究する標本館があります。標本展示やドラマ関連コーナーを盛り込んだ企画展を開催中です。(写真:普段一般公開していない、貴重な植物標本が並ぶ企画展 / 7月14日撮影)
東京都立大学内標本館で企画展
八王子市南大沢1-1、東京都立大学南大沢キャンパス内にある牧野標本館は、牧野富太郎が採集した植物標本が遺族から同大学に寄贈されたこともあり、1958年に設置。世界各国からの収集標本も含め約50万点を所蔵。標本類は学術資料として研究に活用し、保存のためにも普段はほとんど一般公開していません。
現在、標本館別館で企画展〜「日本の植物分類学の父」牧野富太郎が遺したもの〜を開催中。今年の夏は、牧野を主人公のモデルにしたNHK連続テレビ小説「らんまん」が放送され多くの人が関心を持つ中、収蔵標本が特別に多数展示されることに。同展の目玉は、約60枚の実物標本。牧野が1914年に新種発表したシダ植物のフモトカグマをはじめ、コメススキ、ユウガギク、ハマウツボといった本人作成の標本も約20枚紹介(7月取材時)。100年以上前に採集されたり、今では日本各地から姿を消したりした植物もあり、その時代の自然環境を推定する歴史的資料といえます。「植物を探求した牧野博士の情熱を感じてもらえたら」と同大学管理部、企画広報課長の槍田綾子さん。期間中、標本保護のため展示品は入れ替えます。
他に最近の植物標本、野菜や果物の標本、ドラマ撮影時に貸し出した標本を展示。標本作成のこつも解説してあり、自分で挑戦してみるきっかけ作りにも。牧野本人の実物大パネルと一緒に写真撮影ができるスポットもあります。
同展は9月30日までの午前10時〜午後5時、牧野標本館別館TMUギャラリーで開催中。入場無料、入館4時半まで。日曜、祝日、8月25日〜9月3日休館。9月23日は開館。
10月10日から本館で標本を随時展示
「牧野博士の人物像が浮かび上がります」と企画広報課長の槍田さん。本館にて
同大学キャンパス内、牧野標本館本館の入り口には小規模な標本展示コーナーがあり、牧野標本や本人が描いた植物画等を随時展示。企画展の間は閉鎖、10月10日から再開。祝日を除く月〜金曜午前9時〜午後5時に観賞できます。企画展や同館についての詳細はホームページを参照。
ショッパー町田・相模原周辺版 2023年8月4日号掲載