生活八王子市

【取材記事】守る・育む・学ぶ・遊ぶ「高尾の森自然学校」絶滅危惧種が芽吹く森

八王子市川町に住宅街と隣り合わせの場所にありながらも、絶滅危惧種の植物が芽吹き、野生動物が暮らす森があります。管理しているのは、セブンーイレブン記念財団。東京都との協働事業として『高尾の森自然学校』を運営し、貴重な森林を守り、育み、学びを深めることで次世代へつなげる活動をしています。(写真:自然観察プログラムの様子)

100年後も続く森へ

高尾の森自然学校は、東京都が所有している約27㌶(東京ドーム6つ分)の広大な森をフィールドに活動。主に、森林整備による里山再生、希少動植物の保護・保全のほか、豊かな自然を活かした体験型学習プログラムの提供に取り組んでいます。「二酸化炭素を吸収し酸素を放出する木々は、私たちの生活に欠かせないものですが、樹齢が高くなればなるほど二酸化炭素の吸収量は少なくなります。脱炭素社会を実現するためにも、樹木の若返りは必須。100年後も持続できる森づくりを目指して活動しています」と代表の梶浦正人さんは話します。

具体的には森を再生するため、計画的に間伐し、苗木を植え、低木や多種の樹木を混ぜ合わせて造林することで、伝統的な里山林の姿へと整備。生い茂っていた下草も刈り、間伐したことで出来た木々の隙間から太陽の光を地面まで届かせることで、新たな芽吹きを促進してきました。その結果、2015年の活動開始から8年間で、環境省や東京都が指定する絶滅危惧種9種を含む約300種の植物が確認されるようになりました。さらに、森を住処にする動物も多様性に富むように。「見通しが良くなったことでエサが見つけやすくなり、動物にとって住み心地がいい森になっています。タヌキ・アナグマ・キツネ・ウサギ・シカといった野生動物のほかに、翼を広げるスペースがないと生息できないフクロウもつがいで確認できました」。

森の整備に欠かせないのがボランティアの存在。森のお手入れボランティアは、これまでに130回以上実施し、延べ1300人以上が参加。小学3年生から参加できるジュニアボランティアも活動しており苗木を自宅で育てるなど、森の再生に一役かっています。

多様な体験プログラム

高尾の森自然学校のもう一つの特長は、年間を通じて実施される体験学習プログラムが内容、回数ともに充実していること。例えば、『森里川海のつながりを学ぶ』は、森の中にある水源から、大沢川を通じて東京湾に出るまで3回に分けて巡るプログラム。物語性があり、市外や23区内からも環境教育に熱心な親子連れでにぎわいます。

体験プログラムは予約制ですが、森の散策はだれでも自由にできます。散策路は、大人の足で1周30分程。程よくアップダウンや尾根道もあり、体力に自信がなくても、山歩き気分を楽しめます。「秋〜冬にかけてクリスマスやお正月飾りのクラフトやフォレストウオークなどの体験プログラムも開催します。葉が落ちた冬の森は、太陽の光が差し込み、光と影のコントラストがとても美しい時期。静かな森の中で、落ち葉を踏みしめる音や生き物の息づかいを感じなら散策するのがお勧めですよ」。

高尾の森自然学校 | 一般財団法人セブン-イレブン記念財団
セブンーイレブン記念財団
店頭のレジ横にある募金箱による募金やセブン-イレブン本部からの寄付金などを財源に環境保全活動や市民団体への助成などを実施している財団法人。レジ横募金には年間4億円程が寄せられ、この30 年間で92 億円以上が寄せられている。
❖ 高尾の森自然学校
八王子市川町705-1
午前9時半~午後5時(10月~2月は午後4時)
火曜日定休
開園中は自由に散策可能(団体は要予約)
体験プログラムやボランティアの参加は公式サイトから
ショッパー八王子周辺版 2023年11月17日号掲載
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